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『まんぷく』安藤サクラ&長谷川博己の夫婦像が、スレた私たちに教えてくれること(女子SPA!)

(公開: 2018年11月08日)

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出典元: 『まんぷく』公式サイト https://www.nhk.or.jp/mampuku/

NHK連続テレビ小説(朝ドラ)は、ひと昔前を描く物語であっても、視聴者は現代人。時代背景のディテールには正確さが必要ですが、人物像などは現代人が共感できることがポイントです。

 たとえば、『ひよっこ』(2017年4~9月、有村架純主演)は脚本・演出が巧みで、1960年代の懐かしい風景や風俗を盛り込みながらも、人物の描き方や会話の運びは、しっかり現代劇でした。

 いま放映中の『まんぷく』も同様に、戦前・戦中・戦後を描きつつも、キャラクターや関係性などは現代の空気にピタリと合っています。『まんぷく』は、インスタントラーメンを発明した日清食品創業者の夫婦がモデルですが、福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己)の夫婦像は、私たちが学びたい点がたくさんあるのです。

◆幸せの沸点が低くて楽天的

 学びたいことの一つは、「幸せの沸点の低さ」。

 たとえば福子は、父親の会社倒産によって貧しい家で育ちます。女学校時代、毎日「ちりめんじゃこ弁当」でありながら「おかげで骨が丈夫やの」と言うおっとりポジティブぶりは、ぜひ真似したいところ。

 愛する姉の死、萬平の収監と、次々に襲ってくる悲しい出来事に対しても、よくある朝ドラヒロインなら歯を食いしばって立ち上がるところ、福子はそうではありません。福子の場合は、辛い状況でも、外ではそうした感情を見せず、とりあえず「ひきつった笑顔」を顔にはりつかせてやり過ごそうとするのです。

 これは「楽天的」に生きてきた福子の無意識の習慣なのでしょう。

◆人を嫌わない、いつでもおだやか

 萬平もまた、会社の共同経営者に裏切られ、憲兵に連れていかれて拷問されるという酷い目にあったのに、「全然恨んでいない。会社の経営を全部やってくれて自分はモノ作りに専念できたから、むしろ感謝している」というお人好しぶりです。

 そして、福子の同僚・恵(橋本マナミ)に「似た者夫婦」と言われ、「嫌いな人いないでしょう?」と聞かれたときの「嫌いな人……?」というリアクションにも福子の人柄があらわれています。

「人を嫌わない・憎まない」という強い信条や強い感情を持っているのではなく、おだやかにナチュラルに、誰かを嫌いだと感じることがないのでしょう。

 ドラマチックで起伏の多い人生でありながら、感情の起伏はあまりなく、常に穏やかにゆるやかにやり過ごす。

 現代もストレスフルな時代で、とかく「自分の痛み」にばかり目を向けがちな人が多いですが、福子と萬平の穏やかさは羨ましい限りです。

 疎開先でも囲炉裏(いろり)を囲んで食事をしたりする様子は豊かに見えますし、電柱から「盗電」して電球をつけたり、川に電気を流して魚をとったり……もちろんこれは注意を受けますが、それでもやっぱり楽しそう。

 どこでも、どんな時代でも、どんな境遇にあっても、この二人なら幸せに生きられるのだろうなと想像できます。

◆妻への愛情をいつも言葉にする夫

 夫婦のあり方もまた、現代の人の価値観にフィットしています。

 男尊女卑も根強かったはずの時代に、妻に対して「ありがとう福子」「お前は良い奥さんだ。僕は幸せだよ」と感謝や愛情表現を常に言葉にして言う萬平。

 高給取りであるとか、イケメンであるとかよりも、今はこうした人として尊重し合える関係をパートナーに求める女性も多いはず。

 おまけに、好奇心旺盛で、知恵がある萬平。現代を生きる上で、最も頼もしいパートナーの条件ではないでしょうか。

◆「夫の世話」に幸せを感じる妻

 福子は福子で、萬平の体を常に気遣い、貧しい生活の中でも工夫して美味しい食事を作ります。「萬平さん」「萬平さん」といつも名前を呼び、母・鈴に「世話を焼きすぎ」と愚痴をこぼされるほど。

 交際時など、「三人称」の距離感だった時代には相手の名前を呼んでも、結婚して一緒に暮らすようになると、二人称(あなた、とか)でしか呼ばなくなる夫婦は多いのでは?

 まして「世話を焼きすぎ」と言われるほどダンナの世話を焼きたい妻がどれだけいるでしょう。

 世話を焼きたいかどうかはともかくとして、せめてたまにはちゃんと相手の名前を呼ばなければ、と思わされます。

『まんぷく』のモデルである日清食品創業者の安藤百福さん・妻の仁子さんは、資料が少ないこともあって、ドラマはオリジナル物語として人物を生き生き描きやすいこともあるでしょう。

 第5週(10月27日~11月3日)では、萬平のアイデアで始めた「ハンコ作り」が成功するものの、同業者が増えてまた苦境に立たされます。第6週で、萬平と福子が見つける“新たな道”とは――。

<文/田幸和歌子>

【田幸和歌子】

ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など

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